商 品
商品とは、商業を営む会社が販売の目的をもって所有する物品であって、当該企業の営業主目的に係るものをいう。
販売の目的をもって所有する土地、建物その他の不動産とは、不動産の売買、あっ旋等を業とする会社が販売の目的をもって所有する土地、建物その他の不動産をいう。
参考:会社計算規則第74条第3項1号ト、財務諸表等規則第15条第5号、同ガイドライン15-5
仕訳例
(1) 商品の仕入
商品5,000,000円+消費税400,000円=5,400,000円を掛けで仕入れた。
借方 | 貸方 | ||
商品 | 5,000,000 | 買掛金 | 5,400,000 |
仮払法人税等 | 400,000 |
(2) 仕入れ付随費用
商品を仕入れるため、運送費500,000円+消費税40,000円=540,000円を小切手を振り出して支払った。
借方 | 貸方 | ||
商品(注) | 500,000 | 預金/当座預金 | 540,000 |
仮払法人税等 | 40,000 |
(注) 商品の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額が含まれるが、法人税法では基本通達5-1-1で次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとするとしており、実務ではこの基本通達に従って処理されていると思われる。
(3) 商品の販売
商品を販売価格1,000,000円+消費税80,000円=1,080,000円で販売した。代金は2か月後に銀行振込で決済される予定。
当該商品の原価は800,000円である。
借方 | 貸方 | ||
売掛金 | 1,080,000 | 売上高 | 1,000,000 |
仮受消費税等 | 80,000 | ||
売上原価 | 800,000 | 商品 | 800,000 |
(4) 仕入商品の返品
仕入れた商品のうち、不良品10,000円+消費税800円=10,800円があり、これを仕入先に返品した。返品した商品代は同社に対する買掛金から差し引いた。
借方 | 貸方 | ||
買掛金 | 10,800 | 商品 | 10,000 |
仮払消費税等 | 800 |
(5) 仕入商品の値引
仕入商品の一部に不良品があり、不良品50,000円+消費税4,000円=54,000円の値引行うことで合意した。値引代金は同社に対する買掛金から差し引いた。
借方 | 貸方 | ||
買掛金 | 54,000 | 商品 | 50,000 |
仮払消費税等 | 4,000 |
(6) 仕入商品の割り戻し
仕入先から当期の仕入高に対し、仕入価格100,000円+消費税8,000円=108,000円の割り戻しを行う旨の通知を受けた。この割り戻し額は後日当社の銀行口座に振り込まれる予定。
借方 | 貸方 | ||
未収入金/仕入割戻 | 108,000 | 商品 | 100,000 |
仮払消費税等 | 8,000 |
(7) 商品の評価損
当期末に保有する商品のうち1,000,000円は流行遅れから時価が著しく下落し、今後回復の見込はない。商品の時価は400,000円である。なお、この評価損は売上原価の内訳科目として表示する。
借方 | 貸方 | ||
売上原価/商品評価損(注) | 600,000 | 商品 | 600,000 |
(注)棚卸資産に原価法を採用した場合において、棚卸資産の時価が取得原価より著しく低いときは、将来回復すると認められる場合を除き、時価で評価しなければならない。
また、次の事実が生じた場合には、評価損を計上しなければならない。
・ 棚卸資産について、災害により著しく損傷したとき
・ 著しく陳腐化したとき
・ 上記に準ずる特別の事実が生じたとき
品質低下、陳腐化等の原因によって生ずる評価損については、それが原価性を有しないものと認められる場合には、これを営業外費用又は特別損失として表示し、これらの評価損が原価性を有するものと認められる場合には、製造原価、売上原価の内訳科目又は販売費として表示しなければならない。(参考:企業会計原則注解 注10(3) )
(8) 商品の棚卸減耗損
期末の実地棚卸の結果、商品100,000円が帳簿残高より不足していることが判明した。不足の原因は不明である。なお、この棚卸減耗損は売上原価とする。
借方 | 貸方 | ||
売上原価/棚卸減耗損(注) | 100,000 | 商品 | 100,000 |
(注) 棚卸資産は、棚卸によってその有高が確定される。この際、実地棚卸高と帳簿残高に不一致が生ずることがある。実際の棚卸高が帳簿残高より少ないときは棚卸減耗損として処理する。
(9) 委託販売
委託販売のため、商品1,000,000円を委託販売先に引き渡した。
借方 | 貸方 | ||
商品/積送品(注) | 1,000,000 | 商品 | 1,000,000 |
(注) 積送品とは、委託販売のために委託販売先に商品を引き渡した商品をいい、手許にある商品又は製品と区別するため積送品勘定の科目を設けてに振替え管理していく。なお、貸借対照表では商品又は製品に含めて表示する。
委託販売とは、委託者が受託者に商品や製品の販売を委託する販売形態であり、受託者が委託品を販売した日をもって売上収益の実現の日とする。
(10) 委託販売商品の売上
委託販売商品のうち700,000円が販売され、次の売上計算書が委託販売先から送付されてきた。
(売上計算書)
売上高 1,000,000円+消費税80,000円=1,080,000円
販売費(販売手数料) 100,000円+内消費税8,000円= 108,000円
雑費 50,000円+内消費税4,000円= 54,000円
差引支払額 918,000円(支払は1ヵ月後振込)
借方 | 貸方 | ||
売掛金 | 918,000 | 売上高 | 1,000,000 |
販売手数料 | 150,000 | 仮受消費税等 | 80,000 |
仮払消費税等 | 12,000 | ||
売上原価 | 700,000 | 商品/積送品 | 700,000 |
(11) 委託販売商品の返品
委託販売商品のうち50,000円は販売の見込がないとのことで返品された。
借方 | 貸方 | ||
商品 | 50,000 | 商品/積送品 | 50,000 |
(12) 試用販売の発送
試用販売のため、原価500,000円の商品を得意先に発送した。
発送運賃は30,000円+消費税2,400円=32,400円で、現金で支払った。
試用品は商品の内訳科目とし、試用販売中であることを明らかにするために試用品の科目を設けて記帳する。
借方 | 貸方 | ||
商品/試用品(注) | 530,000 | 商品 | 500,000 |
仮払消費税等 | 2,400 | 現金 | 32,400 |
(注) 試用品とは、一定期間内に買い取るか返品するかの判断を得意先に委ねて引き渡した商品をいい、手許にある商品又は製品と区別するため試用品勘定に振替えて管理していく。なお、貸借対照表では商品又は製品に含めて表示する。
(13 試用販売品の売上
試用販売品について、得意先から半分を買い取る旨の意思表示があった。販売価格300,000円+消費税24,000円=324,000円で、売却代金は1ヵ月後現金払いの予定である。
借方 | 貸方 | ||
売上原価 | 265,000 | 商品/試用品 | 265,000 |
売掛金 | 324,000 | 売上高 | 300,000 |
仮受消費税等 | 24,000 |
(14) 試用販売品の返却
試用品残り分について、得意先から買い取りの意思がない旨連絡があり、商品が返却された。
借方 | 貸方 | ||
商品 | 265,000 | 商品/試用品 | 265,000 |