その他利益剰余金
その他利益剰余金は、「任意積立金」と「繰越利益剰余金」に区分される。
任意積立金とは、会社の独自判断で積み立てるもので、特に目的を限定しない別途積立金、目的を限定した修繕積立金・配当平均積立金等・税法上の特例を利用するために設ける圧縮積立金や特別償却準備金等がある。
繰越利益剰余金とは、前期に処分されなかった繰越利益+任意積立金の取崩額+当期純利益となる。
仕訳例
(1) 配当平均積立金の取崩
株主総会の決議により、配当平均積立金2,000,000を取り崩した。
借方 | 貸方 | ||
その他利益剰余金/配当平均積立金 | 2,000,000 | その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 2,000,000 |
(2) 別途積立金の取崩
株主総会の決議により、マイナスとなっているその他利益剰余金を補填するため、別途積立金5,000,000を取り崩して補填した。
借方 | 貸方 | ||
その他利益剰余金/別途積立金 | 5,000,000 | その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 5,000,000 |
(3) 別途積立金の積立
株主総会において別途積立金5,000,000の積立てを決議した。
借方 | 貸方 | ||
その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 5,000,000 | その他利益剰余金/別途積立金 | 5,000,000 |
(4) 特別償却準備金の積立
租税特別措置法による特別償却2,000,000を利益処分により特別償却準備金として積み立てた。法定実効税率は40%とする。また翌期以降の取崩期間を7年とする。
借方 | 貸方 | ||
その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 1,200,000 | その他利益剰余金/特別償却準備金 | 1,200,000 |
法人税等調整額 | 800,000 | 繰延税金負債 | 800,000 |
(5) 特別償却準備金の取崩
上記(4)の準備金は7年間で取崩す。
借方 | 貸方 | ||
その他利益剰余金/特別償却準備金(注1) | 171,428 | その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 171,428 |
繰延税金負債(注2) | 114,285 | 法人税等調整額 | 114,285 |
(注1)1,200,000÷7年=171,428
(注2)800,000÷7年=114,285
以降、取崩期間にわたり同様の処理をする。
(6) 資本金減少による欠損の補填
株主総会において、欠損金20,000,000を補填するため、資本金20,000,000を減少する決議をした。
借方 | 貸方 | ||
資本金 | 20,000,000 | その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 20,000,000 |
(7) 準備金の振替による欠損の補填
株主総会において、資本準備金10,000,000、利益準備金10,000,000を欠損金の補填にあてる決議をした。
借方 | 貸方 | ||
資本準備金 | 10,000,000 | その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 20,000,000 |
利益準備金 | 10,000,000 |
(8) 配当の実施と準備金の積立
株主総会において配当1,000,000、利益準備金の積立60,000、資本準備金の積立40,000の実施を決議した。
借方 | 貸方 | ||
その他利益剰余金/繰越利益剰余金 | 1,100,000 | 未払金/配当金 | 1,000,000 |
利益準備金 | 60,000 | ||
資本準備金 | 40,000 |