長期前受収益
長期前受収益とは、前受収益のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超える期間を経て収益化されるものをいう。
前受収益とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算書から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。
参考:企業会計原則注解:5(2)
仕訳例
機械及び装置をセール・アンド・リースバックした。リース期間は5年
機械及び装置の取得価額180,000,000円 同機械及び装置の減価償却累計額27,000,000円
機械及び装置の売却価額は170,000.000円で当座預金に入金した。
資産売却益17,000千円は、長期前受収益として繰延処理する。
(1) X1年4月1日(資産売却・リース取引開始)
借方 | 貸方 | ||
減価償却累計額注1 | 27,000,000 | 機械及び装置 | 180,000,000 |
預金/当座預金 | 170,000,000 | 長期前受収益 | 17,000,000 |
リース資産 | 170,000,000 | リース債務 | 170,000,000 |
リース債務注 | 40,769,000 | 預金/当座預金 | 40,769,000 |
(注) リース債務は年額リース料の支払
※機械及び装置の売却価額とリース物件価額は同額なので、消費税は相殺されることになることから計上していない。
(2) X2年3月31日(決算日)
借方 | 貸方 | ||
支払利息及び割引料注1 | 12,923,000 | 未払費用/支払利息 | 12,923,000 |
減価償却費注2 | 34,000,000 | 減価償却累計額 | 34,000,000 |
長期前受収益 | 3,400,000 | 減価償却費/長期前受収益償却注3 | 3,400,000 |
注1 支払利息はX1年4月1日からX2年3月31日までの未払利息計上
注2 各年度の減価償却費の計算は、リース資産取得価額(実際売却価額)とリースバック時以後のリース期間を基準に、残存価額をゼロとして計算した。170,000千円×1年/5年=34,000千円
注3 長期前受収益の償却は17,000千円×1年/5年=3,400千円
(3) X2年4月1日(期首・未払利息の振り替え)
借方 | 貸方 | ||
未払費用/支払利息 | 12,923,000 | 支払利息及び割引料 | 12,923,000 |
(4) X2年4月1日(第2回支払日)
借方 | 貸方 | ||
リース債務 | 27,846,000 | 預金/当座預金 | 40,769,000 |
支払利息及び割引料 | 12,923,000 |
以後決算日はX2年3月31日と同様な会計処理を行う。