長期前払費用
長期前払費用とは、前払費用のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超える期間を経て費用となるものをいう。
仕訳例
(1) 敷金の差入れ
期首に営業所用事務所の賃借契約をし、敷金5,000,000円と1か月分の家賃300,000円+消費税24,000円=324,000円、合計5,324,000円を小切手を振出して支払った。なお、賃借期間は10年間で、敷金のうち20%は契約期間満了時に返還されない。
借方 | 貸方 | ||
長期前払費用 | 4,000,000 | 預金/当座預金 | 5,324,000 |
長期前払費用(注1) | 925,925 | ||
賃借料 | 300,000 | ||
仮払消費税等(注2) | 98,075 |
(注1) 返却されない敷金は消費税課税取引となる。返却されない敷金1,000,000×(100/108)=925,925円 この消費税等74,075円
(注2) 返却されない敷金の消費税等74,075円+家賃の消費税24,000円=98,075円
(2) 敷金の償却
決算にあたり、返却されない敷金を償却する。返却されない敷金は5年で償却する。
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 | 185,185 | 長期前払費用 | 185,185 |
(3) 道路負担金の支出
当社に隣接する県道の拡幅工事が実施され、これに伴い当社が便益を受けることになり、県から負担金1,000,000円+消費税80,000円=1,080,000の割り当てがあり、当座預金から支払った。
借方 | 貸方 | ||
長期前払費用 | 1,000,000 | 預金/当座預金 | 1,080,000 |
仮払消費税等 | 80,000 |
(4) 道路負担金の償却
上記道路負担金1,000,000円の償却を行った。税法の規定により、アスファルト舗装道路の耐用年数10年の40%、4年で減価償却する。
借方 | 貸方 | ||
減価償却費 | 250,000 | 長期前払費用 | 250,000 |
参 考
当初1年を超えた後に費用となるものとして支出された前払費用について、1年内に費用となるべき部分の金額がある場合、その金額が僅少であるものについては、当該金額を流動資産として区分しないで、長期前払費用に含めて記載することができるものとする。
前払費用とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算書から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。
参考:企業会計原則注解5 (1)、16、財務諸表等規則ガイドライン32-1-11