リース資産
リース資産とはファイナンス・リース取引のリース物件について、リース取引開始日に通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件をリース資産として計上したものをいう。
リース資産の計上額はリース料総額からこれに含まれている利息相当額を控除する。
仕訳例
(1) 所有権移転ファイナンス・リース取引を行った。
・リース期間終了時に借手がリース物件を割安価額1,000千円で購入できる選択権が付与されている。借手はこの有利な購入選択権の行使を予定している。
・解約不能のリース期間:5年
・リース料月額:1,000千円 支払は毎月末 リース料総額:60,000千円
・見積現金購入価額:48,000千円
・リース物件の経済的耐用年数 8年
・減価償却方法 定額法、残存価額 10%
リース取引開始日 X1年4月1日
借方 | 貸方 | ||
リース資産 | 48,000,000 | リース債務 | 48,000,000 |
ファイナンス・リース取引は、リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する。リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース契約締結時に合意されたリース料総額からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除する方法による。
第1回支払日(X1. 4.30)
借方 | 貸方 | ||
リース債務 | 612,000 | 預金/当座預金 | 1,000,000 |
支払利息及び割引料 | 388,000 |
利息相当額については、原則として、リース期間にわたり利息法により配分する。毎月支払いするリース料の内訳(リース物件分と利息分)は通常リース契約書に記載がある。リース物件分はリース債務の減少となる。
以降も同様の処理をする。
第12回支払日(X2. 3.31)決算
借方 | 貸方 | ||
リース債務 | 668,000 | 預金/当座預金 | 1,000,000 |
支払利息及び割引料 | 332,000 | ||
減価償却費 | 5,400,000 | 減価償却累計額 | 5,400,000 |
経済的耐用年数8年、残存価額10%4,800千円として定額法により減価償却費の計算を行う。
第60回支払日(X6. 3.31)割安購権選択権の行使
借方 | 貸方 | ||
リース債務 | 1,984,000 | 預金/当座預金 | 2,000,000 |
支払利息及び割引料 | 16,000 | ||
減価償却費 | 5,400,000 | 減価償却累計額 | 5,400,000 |
以降リース料の支払はなし、減価償却費のみの計上をを行う
(2) 所有権移転外ファイナンス・リース取引を行った
・リース取引開始日:X1年4月1日 決算日:3月31日
・所有権移転条項なし・割安購入選択権なし・リース物件は特別仕様ではない。
・解約不能のリース期間:5年
・借手の見積現金購入価額:48,000千円
・リース料月額:1,000千円支払は毎月末 リース料総額:60,000千円
・リース物件(機械装置)の経済的耐用年数:8年 減価償却方法:定額法
リース開始時(X1. 4. 1)
借方 | 貸方 | ||
リース資産 | 48,000,000 | リース債務 | 48,000,000 |
第1回支払日(X1. 4.30)
借方 | 貸方 | ||
リース債務 | 634,000 | 預金/当座預金 | 1,000,000 |
支払利息及び割引料 | 366,000 |
以降も同様の処理をする。
第12回支払日(X2. 3.31)決算
借方 | 貸方 | ||
リース債務 | 689,000 | 預金/当座預金 | 1,000,000 |
支払利息及び割引料 | 319,000 | ||
減価償却費 | 9,600,000 | 減価償却累計額 | 9,600,000 |
減価償却費は、リース期間を耐用年数とし残存価額をゼロとして計算する。48,000千円×1年/5年=2,400千円
以降の決算期も同様の処理をする。
第60回支払日(X6. 3.31)最終回の支払とリース物件の返却
借方 | 貸方 | ||
リース債務 | 992,000 | 預金/当座預金 | 1,000,000 |
支払利息及び割引料 | 8,000 | ||
減価償却費 | 9,600,000 | 減価償却累計額 | 9,600,000 |
減価償却累計額 | 48,000,000 | リース資産 | 48,000,000 |
参 考
(1) リース取引の種類
リース取引はファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引があり、ファイナンス・リース取引は所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースとに分類される。
(2) 会計処理
ファイナンス・リース取引は、リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する。
リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース契約締結時に合意されたリース料総額からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除する方法による。当該利息相当額については、原則として、リース期間にわたり利息法により配分する。
所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する。
有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定する
オペレーティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行う。